佐伯祐三展に行ってみた

佐伯祐三というと、「ガス灯と広告」だったと思うけど、昔、新聞の彼の特集記事を見ていたら、とある大学病院の医局の先生に、お、佐伯祐三だな、と言われた思い出がある。saeki2023.jp久々に彼のパリの街角を見たいと思って、東京ステーションギャラリーへ…

インド映画「ピザ!」貧富の格差と偏見について

評価が高かったので何気なく観た映画。あら、これは拾い物。おすすめしますよ。filmarks.com あらすじ インド南東部のタミルナドゥ州、チェンナイのスラムの向かいの空き地は、子供たちの遊び場。主人公の兄弟は、空き地の木に巣を作ったカラスの卵(英語題C…

選択肢の中から選ぶだけでなく、たまにはゼロベースで考えてみよう

この人のことは知らないけど、メッセージは良いな。 Chase what you want. Don't take what you can get. 私たちは、職探しをするときに転職サイトを見たり、レストランで食事するときにメニューを見たり、いいね!やリツイートしたり、あふれる情報の中から…

ひげもじゃさんとアイコさん

今週のお題「夏うた」 In the Summertime: 暑苦しい夏 「夏がくーれば思い出す―」やTubeやサザンもいいですが、すぐに思い出すのはレゲエラップシンガーのシャギー(もじゃもじゃの意味)が25年前に歌ってた、これですねぇ。ガラにもなく、海に繰り出したく…

距離×コミュニケーション、人工×自然

ネットで知り合った方に教えていただいたのだが、デンマークの設計事務所BIGの作品で、コペンハーゲンに8ハウスという建物がある。その人いわく 広大な国立公園の目の前に位置していてルーフガーデンがあったり、建物内は敢えて各部屋の庭と隣接する長いスロ…

リスク回避と不平等回避の起源、マインドフルネス

今回はちょっとジャーゴンばかりですみません。心理学者亀田達也らの実験では、自分自身のギャンブルにおいても、他者どうしの分配においても、マキシミンと功利主義をウェイト付けした準マキシミンの効用関数が最もフィットしたという(平均分散型やCRRA型…

椿姫その2:デュマフィスによる原作

先述のようにオペラ「椿姫」を見る機会があったのだが、ストーリー的にいくつも謎が残ったこともあり、手に取ったのが本書。椿姫 (光文社古典新訳文庫)作者:デュマ・フィス発売日: 2018/03/23メディア: Kindle版オペラでは、小説後半部分に重点が置かれてお…

キャッシュカードと銀行の役割

こないだ自転車の車輪にカバンが巻き込まれてしまい、大ごとにならずにほっとしたけど、財布も挟まってしまった。で、ほとんど害はなかったけど、久々に取り出したキャッシュカードが割れてたので、再発行手続きに行って、思っていたより手間がかかってしま…

非常時こそナッジの活用を

www3.nhk.or.jpマスク不足で、オイルショックのようにティッシュやトイレットペーパーが品薄状態とのこと。こうなったら、ウイルス流行収まるまでトイレットペーパーもティッシュも買わんぞ…と決意した次第。。さてこういう時こそ、「85%のお客様はトイレッ…

椿姫その1:新国立劇場のオペラ、舞台美術が特に秀逸

www.nntt.jac.go.jp人生でオペラを生で見るのは、おそらく2回目である。中学生くらいの頃、母に連れられて「カルメン」を観た。内容はあまり覚えていないのだが…。それ以来のオペラであるヴェルディ「椿姫」を新国立劇場で見る機会に恵まれた。肝心の歌は、…

読書メモ:トップダウン理論で公共政策を切れない理由

「正しい政策」がないならどうすべきか: 政策のための哲学作者:ジョナサン ウルフ出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2016/10/28メディア: 単行本トップダウン式に哲学理論から始めるのではなく、ボトムアップ式に、まず公共政策論争で何が対立しているのかを…

旭川のお菓子

お正月の家族との会話に、旭川のお菓子屋さんが出てきた。古谷製菓のミルクキャラメル、残念ながら会社はもう存在しないようだ。sapporo-jouhoukan.jp創業者、滋賀県野洲市の出身ながら、北海道に単身乗り込んで、明治・森永に匹敵するブランドに仕立て上げ…

シンガポールと福岡のアリス展

今夏にシンガポールのアートサイエンス・ミュージアムで見たAlice in Wonderland展と、冬に福岡市美術館で不思議の国のアリス展をやっていたので、比較しながらメモ。。 シンガポールのアリス まずシンガポール。こちらは結構子供向けで、いくつもあるドアの…

桜を見る会と平等について

日本国内のニュースは、かなりどうでもいいことに時間が割かれているが、「桜を見る会」もしかり。これが政権の腐敗した構造的性質を表すのであればまだしも、野党が政府与党のあら捜しを必死にしている一環という印象をぬぐえない。とある野党首脳コメント…

塩田千春展:人間関係としての赤い糸、生死のあいまいな境界

昨年スウェーデンに行った時に、とある美術館で企画展を偶然見て、初めて知った。そのときは小一時間しかいられず駆け足になってしまい、また展示内容もだいぶ異なるようなので、改めて訪問。次期館長の片岡真実氏がチーフ・キュレーター。www.mori.art.muse…

道中の安全を願ってくれるバスドライバー

出張で羽田空港に向かうとき、空港に向かうバスで聞いたアナウンス。 「皆様の道中の安全は、皆様のご家族そして私たちの最大の願いであります」 すげぇ。 そんなことをちょっとでも思ってくれてる人がいたんだ。 別に棒読みするでもなく、降車の際にも「ど…

意外なところの空気汚染

Financial Times 2019年9月15日のHow safe is the air we breathe?という特集記事で(URLリンクがうまく貼れずすみません)、各国大都市の特派員が大気汚染モニターを付けて生活するというものがあった。決して目新しさはないし、どの汚染物質について論じて…

大英博物館とManga展

Manga展:流れと位置付けを重視 3年ぶり3回目くらいの大英博物館で、今回のお目当てはManga展。www.britishmuseum.org 日本人以外向けに、コマをどの順序で読むかとかの解説に続いて、漫画が果たしてきた役割をテーマごとに紹介する流れ。鳥獣戯画と鉄腕アト…

不完全さも受け入れる

今週のお題「母の日」この歳になると、人間としての母の人格の不完全さも含めて、できればすべて受け入れたいと思う。ほぼ無条件で、愛おしく思えるのである。そしてこれまで、特に思春期の頃など、無意味につれない態度を取ったり、外で距離を取ったり、嫌…

人間関係における部分均衡と一般均衡

こないだある人と話していて、人間関係で生じる問題について、自分に何ができるか、なぜ自分がうまくコミュニケーションできなかったかという視点で考えていらした。これはとても殊勝なことだと思う。経済学の部分均衡分析と同じで、他の条件を全て一定と考…

久保修さんの切り絵 町家の春夏秋冬

kyoto.wjr-isetan.co.jp新幹線に乗る前後の暇つぶしに行くことの多い美術館えき。今回もあまり期待せずに行ったら、意想外に良かった!おたべのパッケージは見たことがあったけど、久保修さんという作家を特に意識したことはなかった。キャベツ畑、カイワレ…

「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」展 自然の一部である人間の表情について

www.nact.jp最初はあまり何も感じなかったのだが、部屋を先に進むにしたがって、だんだん引き込まれた。少女というテーマでは、フェミニズム的な抗議でもなく、男性がこうあってほしいという勝手な理想の少女像では決してない。なぜかうつ伏せや仰向けになっ…

神島裕子『正義とは何か』メモ

正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書)作者: 神島裕子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見るサンデルの言うように、「私は自分の正義を、君は君の正義を」では、単なる相対主義に陥り…

カタストロフと美術のちから

東日本大震災の衝撃はまだ残っているけれど、少しずつ薄れつつある。そんな自分の意識を少し変えたいというのもあって、訪れてみた。www.mori.art.museum展覧会でフィーチャーされているメインの作品はもちろん印象的だ。冒頭のThomas Hirschhornによる紙で…

Kyotographie2018その4、というかほぼKG+

細見美術館 ジャック・アンリ・ラルティーグ こちらはKyotographie 2018の関連プログラムで、別の日に訪れた。フランスの作者は、幼いころの仕合せな日々を記録に残しておきたかったという。多感な二十歳の時に第一次大戦となるが、影が差したような作品は皆…

Kyotographie2018その3

今回のハイライトは最終日にやってきた。 誉田屋源兵衛 深瀬昌久 まず室町四条を上がったところにある誉田屋源兵衛。毎年すっかりおなじみの会場となった。長屋の手前のほうでは、海外では有名な深瀬昌久の猫やカラスや自画像。猫の視線で、サスケという猫を…

Kyotographie 2018 その2

www.kyotographie.jp 建仁寺両足院 中川幸夫 生誕100周年とは思えないほど自由で現代的で突き抜けた発想の生け花の写真パネルが、畳の上に並べられている。枯れかけた花も見事に生けられている。白菜を立てて生けたような作品は、故宮博物院の白菜を思い出し…

*[アート] 人間とその他との境界

www.youtube.com進化する人類というエントリーをしたので思い出したけど、今年の夏に、似たような趣旨の展覧会をシンガポールで見てきた(同じタイトルの展覧会がダブリンでもあったが、かなり構成が異なるようだ)。本展の第一部「能力の拡張(Augmented Ab…

メタボリズムの未来都市展──戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン

メタボリズムの未来都市展──戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン作者: 株式会社 新建築社出版社/メーカー: 新建築社発売日: 2011/09/01メディア: 大型本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る2011年に森美術館で開催された展覧会のカタ…

*[アート] blur

KG+で立ち寄ったSferaExhibitionで、去年も放映していたBlurというショートショート、良いのでまた見てしまっただよ(90年代ブリットポップの話ではないです)。視力の弱い父が四六時中、子どもたちの色んな写真を撮っていて、現像もせずいったい何が楽しく…