大英博物館とManga展

Manga展:流れと位置付けを重視

3年ぶり3回目くらいの大英博物館で、今回のお目当てはManga展。

www.britishmuseum.org


日本人以外向けに、コマをどの順序で読むかとかの解説に続いて、漫画が果たしてきた役割をテーマごとに紹介する流れ。鳥獣戯画鉄腕アトムから始めるのは日本人にとっては定石だが、北斎漫画とかを紹介しても良かったかも(見逃しただけかもしれない)。ドラえもんサザエさんがなかったのは意外。一つの作品に絞って、ストーリーの面白さが感じられるような仕組みがあってもよかったと思う。

コミケ文化やコスプレにまでつなげているのはサブカルの連続性がわかって良かった(来場者に、オタクはコミュニケーションが苦手な人が多いので、作品を通じて人とつながれるのは感動的と至福の表情で語っていたのは説得力あった)。雑多な本屋の様子が示されているのも、文化全体を伝える上で有益と思う。全体として、Mangaの奥行きを印象付けるものだったと思う。日本人以外がどう受け取ったかを知りたい。

その他:ローマ時代など

後はランダムにハイライト作品を見た。もちろん、モアイ像やロゼッタストーンは何度見ても飽きないのだが、紀元前後ごろのローマ時代の作品でいくつか印象的なものがあった。ポートランド伯爵?が持っていたPortland Vaseは、外が白、内側が濃い青の層状になっているカメオ・ガラスと呼ばれるもの。鮮やかに色が残っている…と思ったけど、初めからこの色だったのだろうか?親から受け継いだのか、群青は昔から好きだったなぁ。

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毛髪やガラスで作られた目がやけにリアルなアウグストゥス帝の頭部は、スーダンのMeroeで見つかった。スーダンの古都Kushの人たちが、ローマ帝国領エジプト南部を征服して持ち帰って、寺院の門前に埋めたという。人々が門を通るたびに、倒した相手の王様の頭を踏みつけるというわけ。もちろんその後ローマ帝国は土地を奪還するんだけど、この頭は取り戻せなかった。でもスーダンの人たちが埋めてくれたおかげで、ほぼ無傷で残っているという有難さ。それにしても、実物よりかなり大きめの頭がじろりと見下ろすこの頭、単なる畏怖だけではなく、威厳も感じさせる。皇帝のプロパガンダにはぴったりだったことだろう。

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やはりエジプトのどこかの部族の儀式?で、ワニ(クロコダイル)の上に逆立ちするアクロバットの大理石の像。これはインパクトあるわー。実際にやっているところはもっと強烈だろう。サーカスのようにワニが協力してくれれば競演というところか。

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スコットランドのチェス盤、ルイス・チェスマン。教会の聖職者の表情が何とも言えずいい感じ。Walrusの歯か何かから作ったという。表情と言えば、リネンで作られたものを石で再現した劇仮面も、ちょっと驚いた感じが少し怖い。能面と比較してみると大変面白い。

というわけで、短時間だったけどやはり見せるもの持ってます。