2019-01-01から1年間の記事一覧

シンガポールと福岡のアリス展

今夏にシンガポールのアートサイエンス・ミュージアムで見たAlice in Wonderland展と、冬に福岡市美術館で不思議の国のアリス展をやっていたので、比較しながらメモ。。 シンガポールのアリス まずシンガポール。こちらは結構子供向けで、いくつもあるドアの…

桜を見る会と平等について

日本国内のニュースは、かなりどうでもいいことに時間が割かれているが、「桜を見る会」もしかり。これが政権の腐敗した構造的性質を表すのであればまだしも、野党が政府与党のあら捜しを必死にしている一環という印象をぬぐえない。とある野党首脳コメント…

塩田千春展:人間関係としての赤い糸、生死のあいまいな境界

昨年スウェーデンに行った時に、とある美術館で企画展を偶然見て、初めて知った。そのときは小一時間しかいられず駆け足になってしまい、また展示内容もだいぶ異なるようなので、改めて訪問。次期館長の片岡真実氏がチーフ・キュレーター。www.mori.art.muse…

道中の安全を願ってくれるバスドライバー

出張で羽田空港に向かうとき、空港に向かうバスで聞いたアナウンス。 「皆様の道中の安全は、皆様のご家族そして私たちの最大の願いであります」 すげぇ。 そんなことをちょっとでも思ってくれてる人がいたんだ。 別に棒読みするでもなく、降車の際にも「ど…

意外なところの空気汚染

Financial Times 2019年9月15日のHow safe is the air we breathe?という特集記事で(URLリンクがうまく貼れずすみません)、各国大都市の特派員が大気汚染モニターを付けて生活するというものがあった。決して目新しさはないし、どの汚染物質について論じて…

大英博物館とManga展

Manga展:流れと位置付けを重視 3年ぶり3回目くらいの大英博物館で、今回のお目当てはManga展。www.britishmuseum.org 日本人以外向けに、コマをどの順序で読むかとかの解説に続いて、漫画が果たしてきた役割をテーマごとに紹介する流れ。鳥獣戯画と鉄腕アト…

不完全さも受け入れる

今週のお題「母の日」この歳になると、人間としての母の人格の不完全さも含めて、できればすべて受け入れたいと思う。ほぼ無条件で、愛おしく思えるのである。そしてこれまで、特に思春期の頃など、無意味につれない態度を取ったり、外で距離を取ったり、嫌…

人間関係における部分均衡と一般均衡

こないだある人と話していて、人間関係で生じる問題について、自分に何ができるか、なぜ自分がうまくコミュニケーションできなかったかという視点で考えていらした。これはとても殊勝なことだと思う。経済学の部分均衡分析と同じで、他の条件を全て一定と考…

久保修さんの切り絵 町家の春夏秋冬

kyoto.wjr-isetan.co.jp新幹線に乗る前後の暇つぶしに行くことの多い美術館えき。今回もあまり期待せずに行ったら、意想外に良かった!おたべのパッケージは見たことがあったけど、久保修さんという作家を特に意識したことはなかった。キャベツ畑、カイワレ…

「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」展 自然の一部である人間の表情について

www.nact.jp最初はあまり何も感じなかったのだが、部屋を先に進むにしたがって、だんだん引き込まれた。少女というテーマでは、フェミニズム的な抗議でもなく、男性がこうあってほしいという勝手な理想の少女像では決してない。なぜかうつ伏せや仰向けになっ…

神島裕子『正義とは何か』メモ

正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書)作者: 神島裕子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見るサンデルの言うように、「私は自分の正義を、君は君の正義を」では、単なる相対主義に陥り…

カタストロフと美術のちから

東日本大震災の衝撃はまだ残っているけれど、少しずつ薄れつつある。そんな自分の意識を少し変えたいというのもあって、訪れてみた。www.mori.art.museum展覧会でフィーチャーされているメインの作品はもちろん印象的だ。冒頭のThomas Hirschhornによる紙で…